![]()
治療の概略
治療には大きく分けて以下の2種類があります。
(1) 異常に対する治療
(2) 妊娠の確率を高めるための治療
例えば排卵がない場合には (無排卵症) 、排卵を起こさなければ絶対に妊娠しません。
この治療 (排卵誘発)は (1) の異常に対する治療になります。
ところでヒトの妊娠の可能性はどの程度なのでしょうか。卵管の中でタイミングよく卵子と精子が接触したと仮定して、
受精が起こり、着床して妊娠が成立し、さらに妊娠が順調に経過する確率は約25%です。
異常のない夫婦が妊娠を望んで排卵の時期に性交をもつようにした場合、妊娠するまでに平均6ヶ月かかります。
すなわち異常が無くとも、妊娠する可能性はそれ程高くはないのです。
また、全く異常のないカップルはほとんどいません。
例えばある程度規則的に排卵のある女性でも、卵巣の機能が常に十分に保たれているわけではなく、
不十分な周期が必ず混在します。
もし卵巣機能が十分な周期とそうでない周期が1ヶ月おきにあるとすると、妊娠の可能性は1/2になり、
前に述べた平均6ヶ月の倍、すなわち妊娠するまでに1年かかります。
もし精子の運動が不十分で妊娠の可能性が正常の1/2だとすると、妊娠までにさらに倍の期間、2年かかります。
また例えば右の卵管が正常で、左の卵管に異常があるとすると、妊娠の可能性はさらに半分になり、
妊娠までに4年かかることになります。
このような場合、卵巣機能を常に良好にする治療
(排卵誘発療法など) を行えば妊娠までの期間を半分に短縮することができ、
さらに精子の運動不良に対する補助的な治療として人工授精を併用すれば、妊娠の確率はさらに高まります。
このような治療が (2) の妊娠の確率を高めるための治療です。
治療は負担の少ない方法から始めて、妊娠しなければ次の段階の治療へとステップ・アップしていくのが一般的です。
ただ異常がなくとも妊娠するまでに平均6ヶ月かかるという点から、一つの治療が有効か否かを判定するには
6周期くらい行わなければなりません。
治療にはかなり根気がいるのはヒトの妊娠の可能性の低さに由来していることなのです。
また、妊娠の可能性は加齢に伴い低下し、30歳代後半の女性の妊娠の可能性は20歳代前半の1/6と言われています。
そしてある年齢のターニング・ポイントを過ぎると妊娠の可能性は激減します。
従って、年齢の高い女性は妊娠の可能性を高める治療を積極的に取り入れて、
早め早めに治療をステップ・アップしなければなりません。
治療には排卵のタイミングを合わせる簡単なものから、最終的な治療法である体外受精/顕微授精まで様々なものがあり、
ステップ・アップするに伴い負担も費用も増加し、リスクも高くなります。
医師は医学的な見地から標準的な治療法を提案しますが、
(2) の妊娠の確率を高めるための治療は絶対に必要な治療ではないことも事実です。
どの段階の治療まで選択するかは、ご夫婦の考え方によって異なると思います。
治療にあたって御希望などありましたら、遠慮なく申し出て下さい。
ART (アート) とは、Assisted Reproductive
Technology (生殖補助技術) の略です。
クリニックのスタッフはAssistant (助手) です。主役はあなたです。